ウーマンエンパワー協会では、さまざまな企業の働き方や仕組みに関する取り組みを取材しています。
今回は、高級洋食器NARUMIで有名な鳴海製陶株式会社 企画室長の間瀬氏・人事総務課の中野氏にお話を伺いました。
<企業概要>鳴海製陶株式会社(本社:名古屋市緑区)
創業:1946年2月
資本金:5億4千万円
従業員数:234名(2024年10月現在) 男性58%、女性42%
※女性管理職割合 係長クラス30.4%、課長クラス14.3%、部長クラス20%
事業内容: ボーンチャイナ等の洋食器販売、調理器用トッププレート等の製造販売
Q. 歴史の長い御社ですが、女性の働き方やキャリア支援という軸ではどんなことをされているんでしょうか?
私が入社した2003年の時点でも女性管理職がしっかり活躍されており、海外出張にも行っている状況でしたし、1946年創業から50周年の社史を見ても、ずっと女性の比率は45~50%を推移していまして元から女性が割とものを言いやすい環境ではあったと思います。
形として当たり前に整っていたことも、時代にあわせてしっかり制度化し発信していこうということで、2022年頃に女性活躍推進委員会を立ち上げて、会社に求めたいことを問題提起して徐々に取り組みを進めています。最近ですと、課題調査から社員の要望を受けて、女性トイレの擬音装置や、冷蔵コールドロッカーの設置なども進めましたし、祝日の出勤をなくして家庭への関わりを重視するように変更しました。
2022年からは外部コンサルティングによるキャリア形成面談をしてもらったり、2024年は階層別にキャリア開発支援研修を行って、管理職向けに会社の歴史を学びつつその中で自分はどうなっていきたいか、会社とどう向き合っていくのかを考えてもらう機会をつくっています。

Q. 働き方もフルフレックス制度に切り替えられたそうですね。
以前は11時~14時のコアタイムがありましたが、その時間に必ず会社にいなければならないという縛りはやめて、2021年から7時~22時のフルフレックス制度に変更しました。個人の裁量に任せて業務を調整できますので、病院に行きたい、学校行事に参加してから出勤などでも活用しやすいですし、全員の働きやすさに繋がっていると思います。
フレックス勤務が出来ない70名近い工場勤務の方は、シフトや夜勤などがあるなかで今後どうしていくのかが課題ですね。
また労働時間削減や隠れ残業防止を目的に、従業員のPC稼働時間管理ソフトを導入しまして、残業が多い傾向の人は面談を実施して、どうしたら残業をなくしていけるか話し合うようにしています。

Q. 育児休暇は女性の取得が100%だったところで、男性にも促進していこうという動きだそうですが?
育休のスペシャリストをお呼びして座談会を実施したり、育休・産休取得予定者や上長の不安を払しょくするための「育休・産休ガイドブック」を作成して、本人の取得や周囲の理解の醸成に努めました。いま男性も3名育休を取得する予定の実績が出てきています。
上司世代も30~40代となってきていて、以前に自分は育休が取れなかったから部下にはぜひ取らせてあげたいという声もあり心強いです。
やはりトップや上司が働きかけることが1番大事だと思います。
Q. 評価と賃金に関する人事制度を変更されたばかりということですがどんな形にされたんでしょうか?最近は外部評価も積極的に取得されてらっしゃる背景も教えてください。
公正な評価を見える化するシステムツールを導入しました。
階層・等級ごとに必要なスキルや能力の設定を行い、半期に1度自己評価をし、上司との面談、1次~3次評価をして給与・賞与に直結する仕組みに変更しました。
昇級(給)内容や、その増幅をわかりやすく透明化し、誰もが見える仕組みに変えたことで今まで目標に対して見えづらかった評価やフィードバックがわかりやすくなりました。まだ導入したばかりですが働きがいに繋がっていけるようにしたいと考えています。
外部評価についても認定制度の取得など、最近はいろいろとチャレンジしています。条件をクリアしていても認定申請していなかったこともありますので、今後の採用活動にもプラスになればと考えています。
やはり皆さん感じているとおり、新卒採用は年々厳しさを増しているなかで福利厚生、残業、年間休日など働きやすさを重視する学生さんが増えていますので、働きたい、働きがいのある会社として見ていただけるように「えるぼし認定(2段階)」「あいち女性輝きカンパニー認証制度」「名古屋市女性の活躍推進企業認定」「健康経営優良法人」などの認定も受けました。

Q.女性活躍推進、DE&Iという観点でポイントがあれば教えて下さい。
社長からの発信や上長から働きかけが1番だとコンサルタントからアドバイスを受けたことがあり私たちもその通りだと感じています。
また、男女に関わりなく、「従業員が働きやすくなるには?」に尽きますね。
ウーマンエンパワー協会でも書いている「女性活躍という言葉がなくなる社会」のために、会社内でも性差を意識せずにその制度文化が当たり前になっていくために取り組んでいくことが大事なんだと思います。

間瀬 茜子
鳴海製陶株式会社 企画室 室長
■プロフィール
大学卒業後、鳴海製陶株式会社に入社。 海外営業部にて勤務後、2011年より海外販売拠点(シンガポール)へ赴任。現地で2回産休・育休を取得。帰国後は企画室にて勤務。
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