ウーマンエンパワー協会では、さまざまな企業の取り組みを取材しています。
今回は、賃貸物件情報サービスの株式会社CHINTAI 総務人事室・マネジャーの淺野氏と広報室・マネジャーの安部氏にお話を伺いました。
<企業概要>(株)CHINTAI(本社:東京都港区)
設立:1992年
資本金:1億円
社員数: 146名(単体)(2024年10月期)
事業内容:賃貸物件の空室情報提供サービス
Q. もともと採用の社員や管理職の比率に偏りはなかったようですが採用関連で変化はありましたか?
全社員および管理職の比率において男女に差もほとんどなかったのですが、中途採用についてはコロナを機にオンライン面談も実施しています。リファラル採用も仕組みをつくり、社員が紹介者の方に声をかけるきっかけとして会食の場を設けた場合に費用を支援しています。そこから紹介者と一緒に気軽に会社に来てもらい、人事とのカジュアル面談に繋いでいただくような導線にもなればと考えています。アルムナイ採用で、数社を経験してまた当社に戻ってきてくれる社員もいますね。
Q. 2022年5月から導入したファミリーエクスペリエンス制度というのはどういう制度なんでしょうか?
女性は産育休取得が100%であったので、男性の育児休暇取得率向上のために導入しました。育児介護休業法の改正も考える後押しになったと思いますが、女性社員の配偶者の育休時にも取得可能となっていて、取得期間に応じて5万~20万円の支援金をサポートしています。
大規模組織ではないので対象者は多くはありませんが、
以前は5日程度だった取得期間も制度導入後は1ヶ月程度に延びています。
さらに長く取れるよう模索していきたいですし、取得した本人も「育休を取ってよかった」という感想を言ってくれる方ばかりですね。
育休取得はしやすいですが、育休明けの復帰後に、両立への戸惑いや時間の使い方などご相談を受けることもあります。
ペースをつかめるまでは、時短・時差勤務の制度も活用してもらいながら、寄り添ってフォローをしていくことが大事だと考えています。

Q. 休暇期間のカバー体制が課題の企業も多いと思いますが御社はどう考えてらっしゃるんでしょうか?
仕組みだけでは網羅しきれないところもあるので、業務自体を見直したりチームでカバーをしています。フォローする周囲の負荷は気を配りたいところです。
もともと有給休暇もすごくとりやすい社風なので、育休も周りが「せっかく制度があるんだから取りなよ」とすごく後押ししてくれる風土がありますね。
Q.テレワークもコロナ前後で定着したんでしょうか?
東京オリンピック開催による交通インフラ混雑を見据えて、全社的にテレワークできる環境を整備しようと取り組んでいた矢先にコロナがありました。
外部チャットやオンライン会議ツールなどの導入はもちろんのこと、マネジャーも少人数で新しいマネジメントについて相談できるバディ制をもうけたり、顔写真入りの組織図で組織が見えやすくしたりなどの工夫をしていました。
現在は、出社とテレワークを併用した働き方ですが、どのような働き方や環境だと社員のパフォーマンスが上がるのかは改めて会社として見直すタイミングだと考えています。
事業やサービスとして、独自性や付加価値を出していくためのコミュニケーションと、働きやすさとのバランスは新人・ベテランによっても変わるかと思いますが議論を深める必要を感じています。
Q. 2024年11月に改訂した評価制度はどのような形に変わったのでしょう?
キャリアステップやグレードを再定義し、昇格に対しては上長推薦だけではなく、自己推薦ができるような仕組みも導入しました。目標設定自体も一方的に上から降りてきたものではなく、自分もしっかりすり合わせて関われるようにしました。どうしてもブラックボックスになりがちな評価についてできるだけ透明化できるようにしています。
社員は20~30代が社員の7割近くを占めています。新卒1年目の社員には他部署の先輩に月1回対面で相談ができるよう、メンター面談の機会を設けており、気軽に話ができるよう食事やお茶代の補助もしています。
Q. 休暇をとりやすい風土というのはどうして醸成されたと感じますか?
上下関係に縛られず意見がいいやすい会社ですし、若手の意見もよくきいてくれる文化がベースにあるからかもしれません。
病気だったり推し活だったりで有給休暇を取るのも普通の雰囲気ですし、休みをとる人がいるのは当たり前だよね、という風土はありますね。
若い世代は育休を取るのが当たり前になってきている世代でもあり、子育てをしながら働いているマネジャーも多いので、「お互い様」意識があります。


Q. 今後の課題やメッセージがあればお願いします。
コロナ前後に柔軟に働けるように仕組み化はされて働きやすさは整いました。
人事制度も変化させてきているなかで、今後は、キャリア開発や機会提供の支援もしていきながら、働きやすさと働きがいの両立やメリハリを模索していきたいです。
正直、私たちは新卒入社で性差や違和感を覚えることもなかったので、それ自体が当たり前であることが幸せな環境ですし、あるべきあり方ではないかと思っています。

株式会社CHINTAI 総務人事室・マネジャー
淺野 由里絵(あさの・ゆりえ)
2009年、CHINTAIに新卒で入社し、不動産会社向け営業を2年間経験。その後、人事グループへ異動し、労務、採用、教育、評価といった人事業務全般を担当。現在は総務人事室のマネジャーとして、社員一人ひとりが自分らしく働ける組織づくりに尽力している。

株式会社CHINTAI 広報室・マネジャー
安部 恵美(あべ・めぐみ)
2008年、新卒でCHINTAIに入社。不動産営業、法人営業、編集職などを経験。2020年に退社後は出版社等で編集職に従事し、2023年に再びCHINTAIへ入社。現在は広報室マネジャーとして、企業価値の向上と情報発信力の強化に取り組んでいる。
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