一般社団法人ウーマンエンパワー協会

【取材】「人」に寄り添い本質的な議論をすることが大事/SUN株式会社

約5分

ウーマンエンパワー協会では、さまざまな企業の取り組みを取材しています。

今回は、多様性を重んじ、オフショア開発や在留外国人支援など国際的な事業にも力を入れているシステムインテグレーション事業のSUN株式会社
代表取締役 仲宗根氏と九州支社のエンジニア/時津氏にお話を伺いました。

<企業概要>SUN(株)(本社:東京都港区)
設立:2018年
売上:16億円
社員数: 112名
事業内容:システムインテグレーション事業、オフショア開発事業、ホームページ制作・運用保守事業、在留外国人支援事業

Q. SUNを設立した経緯や事業について教えてください。

【仲宗根氏】幼少期は、親の転勤に伴ってアメリカで3年ほど過ごしました。保険業や広告業を経験しましたが、「世界の人と繋がりたい」「世界を舞台にビジネスをしたい」という思いがありました。既に日本には多くの在日外国人がいて、海外に拠点を作らなくとも、日本を拠点としたグローバルな会社を創れると感じて起業しました。
現在はソフトウェア開発(システムインテグレーション事業)を中心に国内6拠点とバングラデシュにも1拠点を展開しています。社員の9割がエンジニアです。

また、在日外国人の子どもたちに日本語学習アプリや教育サービスも提供しています。例えばある都内の学校では600人中120人が外国籍の生徒というケースもあり、親の仕事で突然日本にきて授業が全くわからない子どももいますし、高校生は卒業したら就職する人が多い中で日本語力が給与向上にも大事な要素になってくるんです。

さらに、ANABA JAPANというインバウンド旅行者向け地域観光サイトを運営しており、オーバーツーリズム解消に向けて世界にまだ知られていない地域スポットを紹介しています。加えて、日本文化の魅力を発信するとともに、訪日旅行者に向けたマナー啓蒙にも力を入れています。

Q. 女性だけでなく外国籍人材の採用も力を入れているということですが運用の難しさはありますか?

【仲宗根氏】以前から大きな採用基準の変更はなく、「人と人をつなぐ」という企業理念を掲げて多様性によって生まれる新しい価値を大切にしているので、女性や外国籍の方の採用にも力を入れています。

正直、外国籍の方の受け入れには、日本人との文化や習慣の違いによる課題もありますが、今後の時代は日本人だけで会社を回すとこは不可能だと思っているので取り組んでいます。
通常は日本語教育を外注している企業がほとんどですが、当社は日本語教師の資格をもっている社員を直接雇用していて、業務にあわせて外国籍の方に日本語教育をできるところが強みだと思います。

Q. 働き方・休み方についての取り組みを教えてください。

【仲宗根氏】以前からフレックス制度はありましたが出社中心の働き方で残業が発生することもあり、有給休暇も体調不良での消化がメインでした。受注のお客様先にもよりますが、コロナ禍後は、時短勤務やリモートとの併用、フレックスを活用して子どものお迎えの中抜けなどに対応できるなど、より時間を有効活用できるようには取り組んでいます。

22年10月からは女性活躍推進会議を毎月開催して様々な課題を議論しています。
対象は女性だけではなく、海外では当たり前となっているシックリーブ・セルフケア制度として、体調不良による有給の取得も推進しています。男性社員を含めて育休取得は100%活用してもらっていますし、男性女性という言葉がない運用にしていきたいですね。

リモートワークの社員も増えているなか拠点間の交流はまだ十分とは言えませんが、2年に1度開催しているアイデアコンテストから形になった「SunPo」という社内チャットツールを自社で開発したので、社員同士が気軽にコミュニケーションをとれるようにしています。

Q. 実際に子育てをしながら九州支社でエンジニアとして働いている時津さんは2年の育児休暇を取得後復帰されているということですが、働いてみてどのように感じていますか?

【時津氏】人との関わりがどんな仕事にも大事だと感じていたので「人」がよいと思ったSUNに知人の紹介で入社しました。現在はお客様先に常駐して、自治体向けソフトウェアの画面修正などをおこなっています。色んな業務に関われる会社なので、毎回新しいことを学べる成長感はありますね。

当初1年間の育休を取得予定でしたが、保育園が決まらず最終的に2年の育休と2カ月の休職期間をいただきました。
妊娠時につわりがひどくて大変な時期もありましたが、皆さんが嫌な顔せずにサポートをしてくれ、本当に恵まれていると感じました。

これから育休を取る方にアドバイスするとしたら、「不安はあると思うけれどため込まずに、周りを頼って欲しいのと、保活は早く始めた方がいい」とお伝えしたいです。

Q. 仕組みづくりで意識していることは何でしょうか?

【仲宗根氏】施策や福利厚生など制度をつくることがゴールではないので、そこにばかり議論がいくことは違和感があります。
大事なのは、子どもとの時間を大切にしてほしいというなかで、産育休の不安に対して向き合って話せる相手がいるのか?社内に寄り添ってくれる人がいるか?だと思います。

子育ても、都会で近所に誰が住んでいるかもわからない環境より、地域の人とのつながりがある環境の方が安心できる面もあります。やむを得ない事情があって環境を選べない場合ももちろんあると思いますが、『人と人をつなぐ』を理念にしている私たちは、結局「人」が大事だと感じる場面が多いです。社員に寄り添った本質的な議論を重ねて、
今後の日本を支える子どもたちから選ばれる会社を目指していきたいですね。

SUN株式会社
代表取締役 仲宗根 俊平
1983年、大分県生まれ。親の転勤に伴いアメリカに移住し、カリフォルニア州とニュージャージー州で幼少期を過ごす。帝京大学文学部を2006年に卒業後、保険業と広告業の営業を経験、2012年にIT業界に転職。業績が認められ入社から4年で取締役に就任する。2018年にSUN株式会社を設立。ITを軸として世界に社会貢献をすることを目標に掲げ、現在は在留外国人支援事業を推進に励む。

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