ウーマンエンパワー協会では、さまざまな企業の取り組みを取材しています。
今回は、シングルマザーの教育/アウトソーシング事業を運営する株式会社ままよろ 代表の石氏にお話を伺いました。
<企業概要>株式会社ままよろ(本社:東京都渋谷区 営業所:静岡県静岡市)
設立:2019年4月11日
資本金:300万円
従業員数:7名、業務委託218名、登録2,554名(2024年9月現在)
事業内容: アウトソーシングサービス、親子向け学びプラットフォーム
Q. ひとり親家庭の真の自立支援を目指しているということですが、創業の経緯と事業内容について教えてください。
自分が離婚してどう生きていくか?という時に、働きたいと思える職場がありませんでした。離婚でパパがいなくなっている時に、ママも働きに出て不在になるというのは疑問があり、シングルマザーでも夜に働きに出るのではなく、家もあけず働きたいと感じましたし、光を照らしてあげたいと思い、良い職場がないなら自分が創ればいいんだと起業をしました。
企業のお仕事を在宅ワークでお請けするアウトソーシング事業を始めたのですが、
いざ起業してみるとシングルマザーは自己肯定感やマインドが以上に低くて苦労しましたし、企業側も仕事が属人化していて妊娠・子育て中の人でも「休まれたら困る」という仕組みの会社が多かったんです。
そこで、企業の仕組みのアドバイスもしますし、女性側にはママトレーニングという10数項目にわたるカリキュラムを提供しています。
仕事の質、納期が守れるかなど社内の仕事を任せてみて、面接も含めて合格した本気で頑張りたいシングルマザーだけに業務を請けていただく形にしています。
私たちはシングルマザーだから支援してください、ではなく、自信と価値があるから業務をお任せください、という会社を目指しています。
ひとり親世帯は130万世帯あると言われていますが、弊社は13万世帯にカリキュラムや仕事で豊かになってもらうことを目標にしています。

Q. シングルマザーへのトレーニングというのは具体的にどういう内容なんでしょうか?
半分以上はマインドに関するプログラムです。
「私なんて」「これはできない」「誰々さんから聞いたので私は関係ない」「元夫が悪くて私はかわいそう」
こういう人のせいにするスタンスだったり、当たり前にある目の前のことにネガティブだったり隣の芝生が青くみえている人は人生がうまくいきませんし、結果的にお客様に迷惑がかかります。
どん底だった過去も振返ってもらいますが、悪いことや恨みをもつことは何もいいことがない。だから、幸せになるためにどういう心持でいないといけないのか?感謝をできる自分をつくってもらいたいと思っています。
養育費もあてにするな、と言っています。その責任を果たせる男性が少ないのも事実だし、養育費はあったらラッキー、なくてもいいように自立しようということです。
自立したいけど行動に繋がらない、何かと理由をつけてタイムマネジメントできず行動ができない人が多いのです。
ビジョンボードでやりたいことや目標を考えてもらうのですが、「子どものために・・・」という人が多い。だから「子ども抜きであなたは何をしたいの?」を問うています。その上で大事にしていることや強みを整理して、あなたはあなたのままで素晴らしい、というメッセージを送っていますね。したいことと会社で頑張った先に叶うことのリンク付けができれば頑張れます。
Q. 需要と供給のタイミングやバランスに難しさがありそうですがどんなお仕事を請けられることが多いのでしょうか?
私たちはお客様をパートナー様と呼んでおり、依頼されたことをただお請けするのではなく、困っている課題をヒアリングすることから始めます。オンライン業務代行なので、ITやAIの強みを生かすことが基本です。例えば税務の仕事を任せたい会社がアナログ伝票で仕事をしていたら、「マネーフォワードを導入してください」「スキャンデータをフォルダ共有してください」という業務コンサルティングからスタートします。
本部はマネージャーとリーダーがパートナー様とやりとりし、メンバーが業務を委託する形なので、業務の調整はかなりしっかり入れています。
ご依頼は会計、カスタマー支援、セールス、サイト運営、面接代行、オンラインイベントのファシリテーター、入力など幅広いですね。
オンラインを使いこなせていない企業も多いので、ただ契約に沿って淡々と業務を請け負うのではなく、サポートをしながら「心がある」アウトソーシングを目指しています。また、愛のあるおせっかいということも謳っているので、パートナー様が耳が痛いことも言います。例えば、パートナー様のレスが遅過ぎたら「このスピード感ではまずいですよ、」「間に合いませんよ」ということも伝えます。同時にパートナー様のファンになろうということもメンバーには伝えますし、逆に企業に対しては、登録スタッフは駒ではないので、「互いに敬意を払ってお付き合いできること」を求めます。
Q. DEI推進や女性活躍を加速するポイントは何だとお感じですか?
女性比率が高い企業は売上が高いというエビデンスデータがあります。交流のある神田正則さんも同じことをおっしゃっていました。その女性たちが仕事しやすくなるためには、現場や男性の理解が欠かせません。子育てが終わった年配女性も現役ママをいじめるという不思議な事態も起こっています。思い付きで女性をポンと職場に入れるのではなく、本人が向上心を持てて活躍してもらうためには、きちんと下まで教育を落とし込む必要があります。
以前に地方に営業に行った際に、予約いただいたお店が分煙されていなく目の前でたばこを吸われましたが、「こういう配慮のなさなんですよ」と思わず言いましたね。
そもそも分煙じゃないお店を予約していたり煙を吸わせるということに配慮がない意識が問題です。
以前ある大手企業に繋いだとても優秀な女性が1年で辞めました。現場の子育てへの理解が全くなかったり、休んだら給与が減る一方の仕組みだったからです。
だから企業の仕組みも変えなきゃいけない。
単に女性たちを紹介して後は知りませんというのは嫌で、出口への責任を大事にしたいので、その企業に根をちゃんとやっていけるよう今は1年間はマネジメントに入るようにしています。
企業の現場も女性側も、教育・サポートしながらしっかりと理解を浸透させていくことだと思います。


石光
株式会社ままよろ 代表取締役
一般社団法人ままよろアカデミー 代表理事
自身も離婚を経験し、「シングルマザーが働きやすい会社がないなら、自分で作るしかない!」と決心。
2019年に人脈やスキル、資金もゼロの中で起業。
起業から3年目にシングルマザーの収入サポートとなる「ままよろ」を構築。
現在ままよろには現在2600名ほどが登録しており、約220名の委託スタッフが在籍しています。
また、個人事業主から上場企業まで、幅広い規模の組織に対し、働きやすい環境づくりや組織作りのコンサルティングも行っており、
これまでに「シューイチ」や「ZIP」など日本テレビをはじめ、50社以上のメディア出演実績を持ち、多方面から注目を集めています。
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