一般社団法人ウーマンエンパワー協会

【開催報告】ウーマンエンパワーオンラインアワード2024

約9分

スピードと不確実性が増し、人口構造・社会構造も変化しているいま、ますます経済合理性の観点からもダイバーシティ&インクルージョンの必要性が認識されています。
男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数」 (経済・教育・政治・保健の4分野のデータから、男女にどれだけの格差が存在しているかを分析/世界経済フォーラム(WEF)2023年版)の日本の総合順位は依然146カ国中125位(先進国最下位)となっています。男女の所得格差は厚労省「賃金構造基本統計調査」をみても依然として大きく、G7では日本は最下位です。
実態として多様な人材のよい視点と異能を生かし合う社会にはまだ遠いことから、努力している企業と、もっと事例・情報を共有することで流れを盛り上げていきたいという想いでこの活動は始まりました。
ウーマンエンパワープロジェクトは、女性活躍という言葉がなくなる社会に賛同する企業と、「全ての人が働きがいをもてる社会づくり」「女性の組織内地位の向上」の推進を応援しています。

【審査員コメント】

トップ主導で長期で4フェーズにわたり取り組みを推進し、2018年から始められた女性管理職候補者のリストアップでは本人の自信の醸成や背中を押すサポートを進めてこられ、現在では女性管理職比率は32.9%を達成しています。
また、時間単位の有休制度やフルフレックス勤務、在宅勤務の導入など、従業員がライフスタイルに合わせた働き方を選択できる環境が整えられている点も評価されました。
育児休暇については、「男性育休100%宣言」や、育休取得者の上長へのハンドブック配布など、意識改革を促進する施策で職場の文化を変える効果的な働きかけを実施され、結果として産休・育休取得人数は男性29名、女性96名と実績を増やし、時代に応じた新しい仕組みを実現されています。今後もますます取り組みを推進いただくことを期待しています。

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【審査員コメント】

就業時間と業務を月単位で調整できる「短時間スーパーフレックス制度」の導入により、社員がより柔軟に働ける環境となっています。また、トップが「家族より大事な仕事はない」というメッセージを発信し続けており、事業においても社内の仕組みにおいても、「隣の多様性」を大事にするという文化が根付いているだけでなく、働きがいと経済成長の2軸を両方追求する枠組みを確立されています。
短時間正社員制度の導入やその効果は、特に中小企業や専門的なスキルを持つ人材を柔軟に活用できる良い提案であり、このような取り組みが今後の企業や社会全体に広がっていけばと願っています。

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【審査員コメント】

女性の社会進出を支えるフェムテック分野で、肌トラブルをきっかけとした課題解決型ビジネスを起点に、社内も働きやすい環境やキャリア支援を含むウェルビーイングの実現を目指しており、社員全員の成長支援やライフステージ変化に応じた問題解決にも取り組む姿勢が印象的です。裁量労働制とスーパーフレックスをかけあわせた働き方であったり、人事評価とインセンティブを整備してお互いにリカバリーし合える仕組みを模索され、常に取り組みを試行・チャレンジされている姿勢も評価されました。

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【審査員コメント】

出産すると継続しづらいイメージであった保育士の現場の環境を改革し実績をあげられたことが評価されました。国基準の2倍の保育士を配置。シフト制勤務の中で、残業や持ち帰り仕事をなくし、育児休業明けの職員に対しては限定シフト制を導入することで、復帰後もスムーズに働ける環境を提供。さらに小学校入学後の子どもを持つ職員が働き続けられる仕組みにも配慮があり有給取得率93%、産育休取得率100%、さらには人材不足といわれる時代の中で「中途採用倍率は14倍」と大きな成果を出されています。

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【審査員コメント】「優秀な女性を登用する」から「資質のある女性を見つけて育成し登用する」という方向性にシフトして女性管理職の人数を設定し、執行責任者が3年かけて育成・登用するクオータ制を導入されました。その結果、2021年4月時点で4.9%だった女性管理職の比率を2024年4月に6.5%と過去最高を更新されました。本人の意思を尊重して管理職になりたい人材を引き上げるという推進の趣旨に現場上司からの賛同を得たことも寄与していると思われます。
第二期女性育成プログラムでは、希望者にフォローが不要になるまでしっかりサポート体制をつくられ次の3年を見据えておられます。今後、全社的な推進力で建築・不動産業界はもちろん、男性社会のイメージが強いすべての企業の範となられることを期待しています。

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【審査員コメント】

常駐型エンジニアという帰属意識や文化醸成の難易度が高い働き方に一石を投じている。また、女性活躍の本質に目を向けた活動を行う「女性活躍推進委員会」を設置し、2026年までに女性活躍推進企業No.1を目指されています。
社員の現状やニーズを正確に把握し、女性がライフステージを経ても中長期的に活躍できる制度や環境の整備に取り組み、課長職以上の女性比率46.1%、育休取得率も男女共に100%という成果にも繋げています。
メンター制度や保健室の設置、子育て中のママ・パパ社員が仕事と子育てを両立し、安心して働き続けられる職場環境をつくるための社内組織「ふぁみさぽ」を設置しているほか、顧客に対しても働き方やあるべき姿を提案するなどの姿勢と推進力が評価されました。

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【審査員コメント】能力開発、意識改革、風土づくりを3本柱にダイバーシティ推進を進めてこられ、女性の管理職比率は13%近くとなりロールモデルは増えていますが、さらに上級管理職にも増えていくようギアをあげています。
女性だけでなく男性の育児休業取得が徐々に増えていることも、男女問わず育児に関与する意識の変化を示しており、これからさらなる普及が期待されます。
今後もより多くの人々がライフイベントと仕事を両立できる環境が整い、企業経営にとってもプラスの影響に繋がっていくことを願っています。

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【審査員コメント】キャリア形成コンサルティングや階層別のキャリア開発支援研修により、従業員の成長を促進しているほか、職種に応じてフルフレックス制度にしたり祝日の出勤をなくすことで、家庭との両立に配慮した取り組みを進めています。
さらに、PC稼働時間管理ソフトの導入で残業傾向の従業員への面談により労働時間の適正化に取り組んだり、育休・産休ガイドブックの作成、女性トイレの擬音装置や冷蔵コールドロッカーの設置、評価ツールの導入など、職場環境への配慮と具体的なアプローチが評価され、審査員賞となりました。

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【審査員コメント】SRHR(性と生殖に関する健康と権利)を基にした従業員への性教育では、女性特有のホルモンや対処法に関する知識を助産師やフェムテックマイスターから学び、正しい避妊方法や性感染症についても専門家から教育を受ける機会を設けています。これにより、平均年齢の若い女性社員たちが自分の人生を自ら選択し、自立するための知識をサポートし、女性自身にも立場と責任をしっかり与えリーダーシップを含めて教育をするという包括的な取り組みが評価され、審査員賞となりました。

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【審査員コメント】社名を伏せた最終ノミネート企業の中で一般のパパママ投票(Webサイト)で第1位に選ばれました。
ジェンダーやライフステージに関わらず、誰もが活躍できる職場環境を作ることに取り組み働きやすい環境を追求する中で、活躍を続けることが難しい状況が発生した際には、都度問題解決に努め、その解決策が文化として繋がっているようです。さらに、2023年度における女性の復職率は100%であり、今後ますます長く勤務できる女性が増えていくことを期待します。

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【審査員コメント】新潟県のハッピーパートナー企業として、産休や育休取得前の社員に対して復職時のキャリアプランに関する相談フォローを実施。この取り組みの一環として、独自の「ビジョンメイキングシート」を導入し、社員が自身の人生ビジョンやキャリアプランを描き、社内で共有することで、お互いを応援し合う風土を育てています。 過去3年間の産育休取得率が100%であり、男性社員も出生時育児休暇を100%取得。それに向けた業務の整備や文化醸成への努力が感じられました。すべての社員が安心してキャリアを築けるような仕組みづくりを今後も期待しています。

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 ウーマンエンパワーアワード2024総括

【審査委員長 NPO法人ファザーリング・ジャパン/理事NPO法人コヂカラ・ニッポン /ライフシフト・ジャパン/副会長 川島高之氏】 

受賞企業の皆様、おめでとうございます。またアワード参画の皆様、お疲れ様でした。女性活躍という言葉が用いられるようになって10年以上経ちました。働き方改革・イクボス・ダイバーシティなどの推進に比例し、女性の管理職比率が向上するなど効果が出ております。但し形だけで中身が伴っていないとか、スピードが遅すぎるなどの課題も少なく無いです。アワードご参画の皆様は、これら課題解決のフロントランナーでもありますので、日本の環境改善のために更に前進していって下さい。私が20年近く理事をしているNPO法人ファザーリング・ジャパンでは、「イクメン」という言葉を死語にすることを目指してきました。是非、「女性活躍」とか「ワーキングマザー」も死語にしていきましょう。

【ウーマンエンパワー協会 代表理事 谷平優美】
さまざまな業態や規模の各社の課題やアプローチ、事例を伺えて、私たち自身も大変励みになりますし学びになりました。活動が始まった10年前より、少しずつですがダイバーシティ推進や女性活躍も取り組むフェーズやレベルが全体的に上がってきていると感じています。女性の両立支援と活躍支援を皮切りに「全社員の働き方と文化をどのようにつくるか」「どう従業員満足度や生産性を上げ採用にもつなげるか」というテーマも目立ってきている印象です。
社会全体としてはまだまだというところで、行政、個人、企業、それぞれでできることを進めていく必要はありますが、ウーマンエンパワー協会としても、女性活躍というテーマを通じて、結果的に全従業員が働きやすく働きがいをもてる職場づくりに繋がっていくこと、それが経営成果にしっかりつながっていければと思っていますし、将来それが 「女性活躍という言葉がなくなる社会」になっていくことに寄与できればと思います。本日は本当にありがとうございました。

▼オンラインアワード プレゼンの様子

まだ途上の日本において、女性活躍という言葉がなくなる社会のために少しでも発信できたらと思っております。引き続き、ウーマンエンパワーの活動を一緒に盛り上げていただきたく、ご支援・ご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

                                               2025/2/5