ウーマンエンパワー協会では、さまざまな企業の取り組みを取材しています。
今回は、オイシックス・ラ・大地のグリーン戦略室およびDE&I委員長の東海林氏にお話を伺いました。
<企業概要>オイシックス・ラ・大地株式会社(東京都品川区)
設立:1959年
売上高: 1,484億円
従業員数:2,093名(2024年3月31日時点)/女性社員割合65%
事業内容:ウェブサイトやカタログによる一般消費者への有機野菜、特別栽培農産物、無添加加工食品等、安全性に配慮した食品・食材の販売
Q. 御社のDE&Iや女性活躍という取り組みの考え方を教えてください。
私たちは男女という性差だけでなく、年齢や国籍を含めて誰もがどんなライフステージにおいても活躍しつづけられることを目指しています。
最近では、LGBTQ+に関する全社研修を外部講師を招いて実施しましたが、人とのコミュニケーションにおいて自分がもっている固定概念や無意識の偏見などを含めて、「人との接し方に気づきがあった」と予想以上に好評でした。
どんな仕組みも誰かに特化してということではなく、それぞれが自由に活用できればと考えています。

Q.具体的に働き方や制度で取り組まれていることは何でしょうか?
働くお母さん社員が多く使っている制度としては、
・細切れリモート勤務
・別々時短制度
・時間単位の有給利用制度
があります。
子どものお迎えのために中抜けができたり、リモート時は17時まで勤務だけれど出社時は16時まで勤務にする、といったことを上長と判断しながら柔軟に設定できる形です。できるだけ会って話そうという推奨期間をつくったり、チームごとに出社日を決めたりと出社とリモートのハイブリット型勤務にしています。
時短勤務で働く人は効率よく業務をやりたいからこそ気付く無駄などもあり改善に繋がっていますね。認可外保育園費用や病児保育の補助や、ベビーシッター割引券なども用意しています。
勤務時間を前倒し・後ろ倒しできる時差出勤や、エンジニア・デザイナー等の専門的な職種を対象に裁量労働制も導入しています。
事業規模の拡大とともに、当社グループメンバーの国籍も物流・製造拠点を中心に22カ国の国籍を有して(2024年3月末時点)いたり、障がい者雇用の促進に加え、パラスポーツへも協賛しています。
すべての人の人格・人権・個性を尊重し「国籍、人種、性別、セクシュアリティ等による不当な差別を行なわず、多様な価値観を尊重する」という基本思想のもと、仕組みづくりをしています。
そういった文化をベースとして、活躍を続けることが難しい事象が起こったときに、都度問題を解決する。みんながハッピーになるにはどうしたらよいかで制度をつくり、使いやすいように、言いやすい関係づくり、受け止める文化が大事だと考えています。上長との1on1ミーティングでも家庭のことを話したりしますし、チーム力を高めるための場所や補助の出る食事会、サークル活動などの仕事以外の接点も活発です。
Q. 育休からの復帰率は100%ということですが?
2019~2023年度の産休・育休取得は、男性40名、女性91名でした。
管理職を含めて、男性社員の育休取得も1か月などそれぞれの事情にあわせて取る方がいますし、育休後も働き続けるということは達成できてると考えています。
復職式には赤ちゃんや小学生も来たりしますし、社長や上長も参加するのですが、社長自らが「復職してすぐには前と同じように頑張らなくてもいい」とメッセージングしてくれるので精神的な安心に繋がっています。
先に制度を整えるのではなく、社員のニーズからどうすればいいかを自ら一緒に構築していくので制度になった際には、本当に使いやすく使われやすいものになっていますし、制度にしばられすぎないフレキシブルさも持っていると思います。

Q. リソースの限られる企業でも取り組みやすいことは何だと思いますか?
社員数が限られるという規模だからこそ、社員同士の顔と名前一致しやすくコミュニケーションもとりやすいだけに、新しい仕組み取り入れても信頼をベースに進めやすいのではないでしょうか?
弊社の細切れ時短や別々時短などのような仕組みをトライアルでも取り入れてみたらどうかと思います。
小さな感謝伝える「ありがとうカード」を送り合うという取り組みも始めやすくておすすめです。
介護や病気など、誰もが訪れる可能性のあるライフステージの変化にそれぞれが悩まずにトライしたり活躍ができることで事業が成長すると思っています。
そのために1on1などから出てきた声をすぐトライアルして、ボトムアップから構築していくことが大事なのではないでしょうか?

東海林園子
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員
経営企画本部 グリーン戦略室 室⻑。
2006年にらでぃっしゅぼーや(当時)にマーチャンダイザーとして入社。
2018年のオイシックス・ラ・大地との経営統合後、2019年よりらでぃっしゅぼーや商品本部⻑を務め、2021年1月よりグリーンプロジェクトの
リーダーに着任。
2022年11月より、東北大学特任教授(客員)に就任し、同大学の未来型医療創造卓越大学院プログラムにて活動。
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